大阪商工会議所様メールマガジンコラムとして、「医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント(第2回)」を執筆・掲載いたしました。(2020年8月27日配信)
サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門では、大阪商工会議所様メールマガジンにおいて、「医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント(第2回)」のテーマでコラムを執筆いたしました。当社ウェブサイトにて、内容の全文を掲載しております。
本コラムは全2回の配信となり、前回は本邦における医療機器事業に求められる体制(業態)について解説いたしました。
第2回では、医療機器開発の注意点について、医療機器規制の観点から概説いたします。
※本コラムでは、一般的なケースを想定し、細かい例外/免除事項などの説明は省き、一部簡略化などを行っております。
※本コラム内で使用されている医療機器関連用語は、本ウェブサイトの用語集にて解説があるものもございます。併せてご活用ください。
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第2回:医療機器開発の注意点
◆医療機器開発の注意点
医療機器の事業化には、医療現場におけるニーズや市場規模の把握などの市場探索を始めとして、法規制対応を見据えた開発戦略や事業展開をより有利に進めるための知財戦略が必要不可欠となる。
特に法規制の観点から考えた場合、薬機法の対象となる医療機器の開発においては、開発予定の機器(以下、対象機器)に係る規制要求事項を開発の初期段階から適切かつ網羅的に把握し、特定した規制要求事項に基づく医療機器の開発が必須となる。
例えば、医療機器開発ステージの序盤における規制対応のポイントとして、以下のキーワードを挙げることができる。これらのキーワードに対する検討結果により、対象機器に係る規制要求事項は大きく異なることになる。
・「規制対象となる医療機器」への該当性
・「一般的名称」と呼ばれる名称の選択/確認
・「医療機器の審査方法(区分)」の選択/確認
【規制対象となる医療機器への該当性】
対象機器が薬機法の「規制対象となる医療機器」であるか否かの判断については、薬機法における「医療機器の定義」に照らして行うことになるが、その際に、特に重要な要素となるのが対象機器の「使用目的」である。
この対象機器に設定された「使用目的」が不明瞭な場合には、医療機器への該当性判断が適切に行えないので注意が必要である。
勿論、対象機器の動作原理や技術的な背景なども重要な要素ではあるため、誰がどのような環境でどのように使用する機器であるのか、また、その機器を使用した結果としてどのようなメリット(ベネフィット)が生じるのかなどを、あらかじめ明確にすることが望まれる。
また、対象機器の海外輸出を目指す場合、上述した「医療機器の定義」は、国・地域により多少の違いがあることから、その輸出先で規定されている「医療機器の定義」をあらかじめ確認しておくことも重要となる。
【一般的名称と呼ばれる名称の選択/確認】
本邦では、「一般的名称」と呼ばれる医療機器の名称が4300以上定められており、市場で流通する全ての医療機器に設定されている。
この「一般的名称」には、それぞれの名称毎にその定義や不具合が起きた際の人体に対するリスクの程度(クラス分類)などが規定されていることから、対象機器がどの「一般的名称」を用いることができ、「クラス分類」は何であるかを確認する必要がある。
また、市場には未だ存在しない新しいタイプの医療機器を開発する場合においては、用いることができる既存の「一般的名称」が存在しない場合もあるため、その場合には新たに「一般的名称」を創設することになる。
【医療機器の審査方法(区分)の選択/確認】
対象機器を「医療機器」として市場へ出荷するためには、前回のコラムで述べた「製造販売業体制」の構築に加えて、対象機器を「医療機器」として認めてもらうための審査が必要となる。
本邦では、対象機器の「新規性」や「クラス分類」に応じた審査方法が採用されており、「新規性」や「クラス分類」の高い医療機器については、基本的には、厚生労働省所管の独立行政法人(以下、PMDA)が審査することになる。
「クラス分類」が比較的低く、既存の医療機器と実質的に同等である医療機器(以下、後発医療機器)と見なせる機器については、登録認証機関が審査を行うことになる(第三者認証)。
「クラス分類」が一番低い後発医療機器と見なせる機器については、PMDAへの届出の手続きのみを行えばよいため、審査を受ける必要はない。
上記の「医療機器の審査」で特に注意を要するのは、PMDAの審査対象となる機器である。なぜならば、新しい医療機器(以下、新医療機器)、後発医療機器、又はそれ以外の医療機器(以下、改良医療機器)のどの医療機器としての審査を受けるのかにより、審査費用や審査期間、そして審査資料として要求される対象機器の有効性・安全性に係るエビデンスの種類や量が大きく異なるからである。
特に「新医療機器」や「改良医療機器」の場合においては、臨床試験の成績に関する資料が必要になることがあるため、PMDAの審査対象となる機器を開発する場合には、臨床試験の実施を十分に考慮した開発計画を立てることが不可欠となる。
また、上述した「医療機器の定義」と同様に、「医療機器の審査方法」は国・地域により異なり、規制要求事項が異なることから、医療機器事業のグローバル展開を目指す場合には、輸出先における規制要求事項の違いを十分に把握した上で準備を行うことが重要となる。
本コラム概要
テーマ:医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント
執筆:株式会社サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門
コンサルタント 黒川 裕己(Yuki Kurokawa)
関連URL:大阪商工会議所(http://www.osaka.cci.or.jp/mdf/)
サン・フレアのリサーチ&コンサルティング部門では、他業種から医療機器業界への参入を目指す企業様に向けて、参入戦略の策定から製品の上市まで、各ポイントに応じたコンサルティングサービスをご提供しております。
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