大阪商工会議所様メールマガジンコラムとして、「医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント(第1回)」を執筆・掲載いたしました。(2020年8月20日配信)

サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門では、大阪商工会議所様メールマガジンにおいて、「医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント」のテーマでコラムを執筆いたしました。当社ウェブサイトにて、内容の全文を掲載しております。

本コラムでは、全2回の配信を通して、本邦における医療機器事業に求められる体制や医療機器開発の注意点について、医療機器規制の観点から解説いたします。
第1回では、医療機器事業を開始するにあたり登録や届出が必須となる「業態」について概説いたします。

※本コラムでは、一般的なケースを想定し、細かい例外/免除事項等の説明は省き、一部簡略化等を行っております。

——————————————————————————
第1回:医療機器事業に求められる体制

本稿では、医療機器事業に求められる体制や医療機器開発の注意点について2回にわけて概説する。

 
◆医療機器事業に求められる体制
日本国内において医療機器を製造し、市場に出荷し、市場で販売するためには、これらの役割ごとに定められた「業態」としての許可、登録又は届出が必要になる。

※ここで言う「市場への出荷」とは、主に医療機器の販売業者への出荷を意味する。

この「業態」の種類には、「製造業」、「製造販売業」、「販売業(貸与業)」、「修理業」がある。
 
【製造業】
医療機器の製造行為を行う場合には、「製造業」の登録が必要となり、製造行為を行う事業所を管轄する都道府県への登録申請と登録要件を満たすことが求められる。

ここで言う「製造行為を行う事業所」とは、主に以下の施設であり、実施する製造行為に応じた品質マネジメントシステムの構築と資格要件を伴う人員の配置が必要となる。

[設計]
対象となる医療機器の設計開発に関して責任を有する者がいる施設
設計開発に係る記録を管理している施設

[主たる組立]
製造実態のある施設の内、対象となる医療機器に係る品質マネジメントシステム又は製品実現について実質的に責任を有する施設

[滅菌]
滅菌医療機器の滅菌を行う施設

[最終製品の保管]
市場への出荷判定時に製品を保管している施設
 
【製造販売業】
対象となる医療機器を自社名義で市場へ出荷する場合には、「製造販売業」と呼ばれる許可が必要となり、製造販売業の業務を実施する事業所を管轄する都道府県への許可申請と各種の許可要件への適合が求められる。

製造販売業許可は、第一種、第二種、第三種の3種類に分類され、出荷の対象となる医療機器のクラス分類に応じた分類選択を行うことになる。それぞれの分類毎に許可要件は異なるが、主に、品質マネジメントシステム及び市販後の安全管理システムの構築と資格要件を伴う人員の配置が必要となる。

「製造販売業」においては、製造や輸入した医療機器を自社名義で市場へ出荷することから、対象となる医療機器の品質や安全性についての最終責任は製造販売業者が負うことになる。

上記は、いわゆる「製造販売」行為と呼ばれるものであり、「製造」でも「販売」でもない、薬機法独特の用語/考え方である。

「製造販売業」とは、「製造販売」行為を行うための業態であり、医療機器の「販売」や「製造」を行う場合には、前述した「製造業」や後述する「販売業」を要することになる。

したがって、「製造販売業」許可のみでは、基本的には、医療機器の「販売」行為や「製造」行為が行えないことに留意する必要がある。
 
【販売業】
製造販売業者が出荷した医療機器を市場で流通させる場合には、「販売業(貸与業)」の届出又は許可が必要となり、販売業の業務を実施する事業所を管轄する都道府県の保健所への届出/許可申請と各種要件への適合が求められる。

販売業(貸与業)は、管理医療機器、高度管理医療機器等販売業の2種類に分類され、販売の対象となる医療機器のクラス分類等に応じた分類選択を行うことになる。

それぞれの分類毎に届出/許可要件は異なるが、主に、販売業の業務を実施する事業所の構造設備基準への適合と資格要件を伴う人員の配置が必要となる。

販売する医療機器がクラス1非特定保守管理医療機器のみの場合においては、「販売業(貸与業)」の届出又は許可が不要となるが、医療機器を販売するための遵守事項は規定されていることに留意する必要がある。
 
【修理業】
他社が製造した医療機器を修理することを生業とする場合には、「修理業」の許可が必要となり、修理行為を行う事業所を管轄する都道府県への許可申請と各種の許可要件への適合が求められる。

主に、修理業の業務を実施する事業所の構造設備基準への適合と資格要件を伴う人員の配置が必要となるが、製造業者自らが製造をする医療機器の修理においては、修理業の許可を取得する必要のないことに留意する必要がある。

 
◆医療機器メーカーを目指す場合
上述した通り、「製造販売業」の許可及び「製造業」の登録が必要となり、医療機関などへの販売行為も自社で行う場合には「販売業」の届出/許可も必要となる。

仮に販売代理店などの販売網を活用した販売戦略を採用する場合には、「製造販売業」の準備と併せて「販売業」を持つ販売業者の選定も必要となることから、自社が目指す役割をあらかじめ明確にすることが重要と言える。

次回は、医療機器開発の注意点について概説する。

 

本コラム概要
テーマ:医療機器市場への参入を目指す企業が押さえておくべき関連法規制のポイント
執筆:株式会社サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門
コンサルタント 黒川 裕己(Yuki Kurokawa)
関連URL:大阪商工会議所(http://www.osaka.cci.or.jp/mdf/
 

サン・フレアのリサーチ&コンサルティング部門では、他業種から医療機器業界への参入を目指す企業様に向けて、参入戦略の策定から製品の上市まで、各ポイントに応じたコンサルティングサービスをご提供しております。

医療機器市場参入支援
https://md.sunflare.com/service/consulting/newcomer/