大阪商工会議所様メールマガジンコラムとして、「欧州医療機器規則(MDR)の最新動向と対応のポイント(第1回)」を執筆・掲載いたしました。(2020年6月5日配信)

サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門では、大阪商工会議所様メールマガジンにおいて、「欧州医療機器規則(MDR)の最新動向と対応のポイント」のテーマでコラムを執筆いたしました。当社ウェブサイトにて、内容の全文を掲載しております。

本コラムでは、欧州における新医療機器規制である医療機器規則(Medical Device Regulation:MDR)について、その最新動向や旧規制(Medical Device Directive:MDD)からの重要なアップデート事項、移行に係る対応のポイントについて解説いたします。

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第1回:欧州医療機器規則(MDR)への移行

欧州「医療機器規則(Medical Device Regulation:MDR)」が2017年5月26日に発効し、現在、従来法「医療機器指令(Medical Device Directive:MDD)」からの移行期にある。本稿では、2回にわけて同規則について概説する。
 

◆最新動向-延期された適用日/発行相次ぐガイダンス文書
2020年5月26日とされていたMDRの適用日は、新型コロナウイルスの影響により1年延期された。2021年5月までは、引き続きMDDが有効である。

MDRの解釈と運用に関し、欧州委員会のMDCG(Medical Device Coordination Group)によるガイダンス文書が発行されている。発行済みのMDCG文書は30を超えるが、最近になって「臨床評価」や「市販後臨床フォローアップ」など重要なガイダンス文書の発行が相次いでいる。

https://md.sunflare.com/library_category/euro/
 

◆移行期限の考え方
MDDやMDRは、当局が審査や承認を行う制度ではなく、第三者認証機関である「ノーティファイドボディ」による認証制度を基礎とする。企業は、ノーティファイドボディによる「認証書」に基づき「適合宣言」と「CEマーキング」を行い、欧州市場に製品を出荷することができる。低リスクの製品については、認証は不要であり、企業が自ら法規制への適合宣言を行う形式をとる。

各企業が得ている現行法の認証書には、それぞれ有効期限があるはずであるが、その期限が満了するまでに、あるいは遅くとも2024年5月までには、新法MDRによる認証を受け直さなければならない。認証を必要としない低リスクの機器(「クラスI」に分類される機器の多く)は、MDRの適用日までに新法に移行し、適合宣言を行う必要がある。

MDRへの改正により、従来不要であった認証が必要となる機器は注意が必要である。たとえば、病院で洗浄・消毒・滅菌を行い繰り返し使用する外科用の手術器具類は、MDRではノーティファイドボディによる認証が必須となる。

 
◆「適用日」までに行うべきこと
MDR 120条3項は、次のように経過措置を定める。第一に、MDDの認証書があれば、その有効期間は引き続き製品を出荷できる。ただし「設計及び使用目的が大きく変更されていないという条件」に注意が必要である。第二に、MDD認証書で出荷を続けるとしても、適用日以降は「市販後監視、市場監視、ビジランス、事業者及び機器の登録」に関してはMDRが適用される。

したがって、遅くとも適用日までには、いずれの企業もこれらの要求事項に関して自社の品質マネジメントシステムを見直す必要がある。

次回は、臨床評価や市販後監視といった要求事項について概説する。

 

本コラム概要
テーマ:欧州医療機器規則(MDR)の最新動向と対応のポイント
執筆:株式会社サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門
コンサルタント 佐藤 英樹(Hideki Sato)
関連URL:大阪商工会議所(http://www.osaka.cci.or.jp/mdf/
 

株式会社サン・フレア リサーチ&コンサルティング部門では、「欧州MDR関連情報」ページにて、MDRアップデート情報のサマリーを掲載しております。随時情報の追加や更新を行ってまいりますので、是非日々の業務や情報収集に役立てていただければ幸いです。

欧州MDR関連情報
https://md.sunflare.com/news/medicaldeviceregulation/