MDSAPとは
MDSAPは、Medical Device Single Audit Programの略で、医療機器単一監査プログラムと称されます*。
MDSAP規制当局協議会(RAC)として、日本を含む5カ国が参加するプログラムで、共同でQMS監査機関を監督し、監査機関が実施したQMS監査結果をRACメンバー各国で活用するプログラムです。RAC以外には、公式オブザーバーおよびアフィリエイトメンバーがおり、以下にそれぞれの参加国(規制当局)と役割を説明します。
規制当局協議会(RAC/Regulatory Authority Council)メンバー:
日本(厚生労働省/PMDA)、オーストラリア(TGA)、ブラジル(ANVISA)、カナダ(HC)、米国(FDA)
MDSAPの意思決定機関であり、MDSAPの開発、実施、維持、拡張を支援するための指示、監督、リソースを提供する
公式オブザーバー:
欧州連合(EU)、シンガポール(HSA)、イギリス(MHRA)、世界保健機関(WHO)
RAC の活動の監視および RAC の決定事項に対し提案や懸念を表明できる
アフィリエイトメンバー:
アルゼンチン(ANMAT) 、イスラエル(Ministry of Health)、ケニア(PPB)、韓国(MFDS)、メキシコ(COFEPRIS)、南アフリカ(SAHPRA)、台湾(TFDA)、マレーシア(MDA)
MDSAP を理解し、自国の規制枠組みの下で、MDSAP 監査報告書およびMDSAP 認証書を製造業者のQMSの評価に利用する
*医療機器単一調査プログラム、医療機器単一審査プログラムと訳されることもあります。
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MDSAP取得のメリット
現在、カナダのクラスII以上の製品においてはMDSAPを利用してのQMS監査のみを受け付けています。カナダ以外の4か国についてはMDSAPの利用は任意ですが、MDSAPのQMS監査結果はRACメンバー国で活用されるため、例えば日本、オーストラリア、米国の3カ国で製品を販売するメーカーにとっては、3回のQMS調査が1回で済むということになります。加えて、メーカーは認定監査機関から、自社で利用する監査機関を自由に選ぶことができます。
また、アフィリエイトメンバーの国においてもMDSAP監査報告書や認証証がその国で規定する方法において、評価に利用されるため、メーカーにとっての負担が軽減されます。
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各規制当局におけるQMS規制
各規制当局のQMS規制は、ISO 13485と共通する内容に加えて各国独自の要求事項が含まれます。
以下に各国の規制を記載します。
日本(PMDA)
医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(QMS省令)
厚生労働省令第169号
オーストラリア(TGA)
薬品・医薬品(医療機器)規制 2002 スケジュール3:適合性評価手順
THERAPEUTIC GOODS (MEDICAL DEVICES) REGULATIONS 2002 – SCHEDULE 3:Conformity assessment procedures(TG(MD)R Sch3)
ブラジル(ANVISA)
2022年3月30日付 理事会決議RDC No.665:医療機器及び体外診断用医療機器の製造管理及び品質管理の基準
COLLEGIATE BOARD RESOLUTION – RDC NO. 665 OF 30 MARCH 2022: Good Manufacturing Practices for Medical Products and In Vitro Diagnostic Products(RDC ANVISA 665/2022)
カナダ(HC)
CSA ISO 13485:16 (R2021) 医療機器-品質マネジメントシステム-規制目的のための要求事項
CSA ISO 13485:16 (R2021) Medical devices – Quality management systems – Requirements for regulatory purposes
米国(FDA)
米国連邦規則集(CFR)第21巻 – パート 820 – 品質システム規制
Code of Federal Regulations Title 21- PART 820—QUALITY SYSTEM REGULATION(21 CFR Part 820)
※2026年2月2日からは、新しい品質マネジメントシステムとなるQMSRが発効されます。
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監査機関
MDSAPの監査は、RACが認定する監査機関によってのみ、実施されます。
現在認定されている監査機関は、下記から確認できます。
AO contact details
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監査方法
MDSAPの監査は、基本的にMDSAP文書「医療機器単一監査プログラム(MDSAP)監査アプローチ」に準じて実施されます。MDSAP監査アプローチでは、監査機関がMDSAP監査を実施するための具体的な方法が以下の章立てで説明されています。
- 第1章 – マネジメント
- 第2章 – 機器販売許認可と施設登録
- 第3章 – 測定、分析及び改善
- 第4章 – 医療機器の有害事象及び通知書に関する報告
- 第5章 – 設計・開発
- 第6章 – 製造及びサービスの管理
- 第7章 – 購買
また、各章内では「タスク」として詳細な確認項目が説明されており、各国の規制とのマッピングや固有の追加要求事項(差分)についても説明されています。
尚、MDSAPを利用する場合、製品を出荷する全てのRACメンバー国を対象に含める必要があります。また、RACメンバー国のうち、製品を出荷しない国の規制には対応する必要はありません。つまり、日本とカナダに出荷する場合、カナダについてのみMDSAPを利用することはできず、日本とカナダの2カ国についてMDSAP監査を受ける必要があります。
サン・フレアでは、MDSAPの認証取得に向けて、最適なコンサルティングを実施いたします。
また、「医療機器単一監査プログラム(MDSAP)監査アプローチ」および「医療機器単一監査プログラム(MDSAP)質疑応答集」の参考和訳を販売しております。和訳の詳細はこちらよりご確認ください。
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MDSAP監査サイクル
フルスコープのQMS監査となる初回監査の後、その後の2年間に部分サーベイランス監査が年に1回実施されます。また、3年目には、再認証監査(更新審査)として、フルスコープの再監査が実施されるというサイクルになります。
サン・フレアでは、MDSAP更新に関してもコンサルティングを実施しています。
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サン・フレアのコンサルティング内容
MDSAP認証取得に向けて、サン・フレアでは以下のようなご支援を実施しています。
- MDSAP要求事項のレクチャー
- MDSAP利用の方針決定に関するコンサルティング
- 要求事項と貴社ご状況とのギャップ分析
- MDSAP利用を前提とした品質マネジメントシステムの構築とQMS関連文書作成に関するコンサルティング
- MDSAP利用における品質マネジメントシステムの運用サポートに関するコンサルティング
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MDSAP認証支援コンサルティングへのお問い合わせ
下記フォームよりお問い合わせください。