1)共通仕様(CS)

Common Specificationとは欧州医療機器規則(MDR)において新たに規定された、製品の共通仕様です。医療機器に適用される法的義務に準拠する手段を提供する、欧州の規格以外の技術・臨床評価に関わる要求事項であり、ある製品に関連する規格が存在しない場合等、必要に応じて欧州委員会によって採択されます。MDR第9条に規定されています。特に、附属書XVIにリストされた製品の適合性評価に利用され、クラスIII機器の臨床試験の要否にも関係します。

2)整合規格

整合規格(Harmonised standards)とは、欧州CEマーキングプロセスにおいて、該当する指令への適合を示す際に用いる技術標準となります。官報にて公表されている指令に対する整合規格のリストを確認し、適切な規格を選択する必要があります。
2021年4月に発行されたMDCGガイダンスでは、EU官報への公示プロセスや法的な位置付けが説明されています。また、同時発行されたM/575文書(※)では、発行が予定されている整合規格のリストが掲載されています。
※2023年1月にM/575 Amd 1に修正

使い捨て医療用手袋、医療機器の生物学的評価、ヘルスケア製品の滅菌、最終段階で滅菌される医療機器の包装、ヘルスケア製品の処理の整合規格に関して、欧州委員会実施決定(EU)2021/1182を修正する2024年3月6日の欧州委員会実施決定(EU)2024/815

MDRの整合規格に関する欧州委員会実施決定(EU)2021/1182の修正となります。官報に掲載された2024年3月8日から発効となっています。(2024年3月発行)

ヘルスケア製品の滅菌、ヘルスケア製品の無菌操作、品質マネジメントシステム、製造元から提供される情報に用いる記号、キャリブレータ・真度管理用物質・ヒト試料に付与された値の計量計測トレーサビリティ確立のための要求事項の整合規格に関して、欧州委員会実施決定(EU)2021/1195を修正する2022年1月6日の欧州委員会実施決定(EU)2022/15

IVDRの整合規格に関する欧州委員会実施決定(EU)2021/1195の修正となります。官報に掲載された2022年1月7日から発効となっています。(2022年1月発行)

医療機器の生物学的評価、ヘルスケア製品の滅菌、ヘルスケア製品の無菌操作、品質マネジメントシステム、製造元から提供される情報に用いる記号、ヘルスケア製品の処理および家庭用光線療法機器の整合規格に関して、欧州委員会実施決定(EU) 2021/1182を修正する2022年1月4日の欧州委員会実施決定(EU)2022/6

MDRの整合規格に関する欧州委員会実施決定(EU)2021/1182の修正となります。官報に掲載された2022年1月5日から発効となっています。(2022年1月発行)

3)整合規格とAnnex Zについて

国際規格(ISOやIEC)がEUにおいて統一規格として採用されると、EN ISO規格やIEC/EN規格となります。それらの規格は国際規格と同一の要求事項ではありますが、EUの規制に合わせて、軽微な変更を行うことができます。
EN規格とは、欧州地域における統一規格(European Standards)であり、欧州官報にて公表されます。CEN(欧州標準化委員会)、CENELEC(欧州電気標準化委員会)、ETSI(欧州通信規格協会)によって発行される地域規格であり、EU加盟各国は、本規格を自国の国家規格(DINやNFなど)として採用することが義務付けられています。また、CEマーキングの際には、ユーザビリティエンジニアリング(EN 62366)やソフトウェアライフサイクルプロセス(EN 62304)等、整合規格(Harmonised standards)として指定されたEN規格への適合が必須となります。とりわけ、EN規格における附属書Zにおいては、規格要求事項への適合が、MDR等の規制要求事項への適合となるか否かを明示した情報が含まれ、規格要求事項とMDR等の規制要求事項の差分が示される場合もあることから、附属書Zの確認が非常に重要となります。
主要な整合規格とAnnex Zの一覧は次のとおりです。